長3の封筒印刷を大量発注した後の保管術|劣化防止・在庫管理のコツを紹介

長3封筒は、ビジネスシーンにおいて、非常に使用頻度の多い封筒サイズです。さまざまなものが値上がりしている今、少しでも経費を抑えることで物価高に対応したいと考えている企業は多いのではないでしょうか。
使用頻度の多い長3封筒は、まとめて封筒印刷を発注することで、一枚当たりのコストを下げることが可能です。しかしながら、コスト削減を目指して大量の封筒印刷を発注しても、保管の仕方や発注数に問題があると、無駄が生じ、かえってコスト高になってしまう恐れがあります。
そこで今回は、長3封筒印刷を大量発注した場合の在庫管理や劣化防止のポイントについて分かりやすく解説します。

長3封筒を大量印刷するとコスト削減に効果的!

長3封筒は使い勝手が良いため、消費量も多い封筒です。そのため、会社名を入れたオリジナルの封筒印刷をまとめて発注しておくと、コスト削減効果を得られます。

単価が下がる仕組み|印刷コスト・用紙コスト・版代

長3封筒印刷を大量に発注するとなぜ単価が下がるのか、不思議に思うかもしれません。
封筒印刷を行う際には、版や印刷データを作成します。一枚を印刷するに当たっても、大量の封筒印刷をするに当たっても、必ず版や印刷データは必要であり、版や印刷データの作成には手間とコストがかかります。大量印刷の際には、作成した版や印刷データで多くの封筒印刷を実行できるため、一枚当たりにかかる版や印刷データの作成費用が分散され、結果として単価を低く抑えられます。
また、印刷をする封筒もまとめて仕入れることができる点、同じデザインを連続して印刷するために印刷機の設定の手間を省ける点なども、大量印刷によってコスト削減を叶えられる理由となっています。

少部数発注と大量発注の価格差の目安を比較

では、長3封筒印刷を少部数発注するのと大量に発注するのでは、価格にどのくらいの差が生じるのでしょうか。
封筒の達人でクラフト用紙の長3封筒印刷を発注する場合を例に、料金の差を比較してみます。
100枚を発注した場合、価格は2,420円であり、1枚当たりの単価は24.2円です。一方、1,000枚を発注した場合の価格は5,390円となり、1枚当たりの単価は5.39円にまで下がります。1枚当たりの価格で比較すると、100枚の発注と1,000枚の発注では、約4.5倍もの差が生じるのです。
100枚を10回発注し、結果として1,000枚の長3封筒印刷を行った場合、そのコストは24,200円となります。まとめて1,000枚の発注をした場合、5,390円に抑えられることと比較すると、大量発注がいかにコスト削減につながるのかがお分かりになるのではないでしょうか。

コスト削減と在庫リスク軽減のバランスが重要

長3封筒印刷を大量に発注すれば、コスト削減に役立ちます。しかしながら、大量発注をすれば、大量の在庫を抱える必要が出てくる点も考慮しなければなりません。例えば、大量発注によって在庫を抱えすぎると、オフィスの移転やロゴマークの変更などがあれば、封筒を使い切らないうちに廃棄しなければならないリスクも出てくるでしょう。また、大量の封筒を保管するスペースの確保も必要になるため、コスト削減の効果を最大化するうえでは、適切な在庫管理が欠かせません。

大量発注が向いているケース・向かないケース

長3封筒印刷の大量発注によってコスト削減を実現できる企業もあれば、大量発注によってかえってリスクを抱えてしまうケースもあります。
例えば、金融機関や士業、通販会社など、封筒の使用頻度が多い企業の場合は、大量に発注しても在庫が余るリスクは低いため、大量発注によるコスト削減メリットを得られやすくなります。
一方、それほど長3封筒を使用する頻度が多くない場合は、小ロット発注が安全です。また、近い将来に事務所の移転や事業所の増加、電話番号の変更などが起きうる可能性が高い場合も、大量発注は控えておいた方が安心でしょう。

長3の封筒印刷後の保管で注意すべき劣化リスク

長3封筒印刷を発注し、封筒が届いた場合は社内で保管しなければなりません。しかし、封筒は紙であり、長期保存の間に劣化してしまう恐れもあります。

湿気・カビによる変形

紙には、湿気を吸収しやすい性質があります。そのため、湿度が高い環境に長期間保管し続けると、カビが生えたり、封筒が波打ってしまったりといったリスクが生じます。
風通しも悪く、湿気が溜まりやすい地下倉庫などで保管している場合などは、特に、湿気やカビによる劣化が起きやすくなります。

日焼けや色あせ

日焼けや色あせも、長期間封筒を保管する際に注意が必要なポイントです。直射日光だけでなく、蛍光灯の光にも紫外線が含まれるため、蛍光灯が当たる場所での保管も日焼けや色あせの恐れがあります。カラー封筒の場合やデザイン印刷をしている場合、会社のロゴ入れを印刷している場合などは、より色あせが目立ちやすくなるでしょう。
封筒を保管する際には、窓際や蛍光灯の光が直接当たらないような場所を選ぶことが大切です。

糊やテープの劣化

糊付き封筒やテープ付き封筒は、封緘時に糊を塗る必要がないため、作業効率を向上させます。しかしながら、高温下での長期保管によって糊やテープが劣化し、粘着力が落ちる可能性がある点には注意しなければなりません。
ただし、ハイシールやホットメルトなどの口糊を使っている場合は、比較的長期保存にも対応しやすいとされています。

印刷面のインク劣化やにじみ

長期保管をしていると印刷面のインクが劣化し、印字が不鮮明になったり、にじんだりするケースが見られます。特に、カラー印刷の場合、インクのにじみが目立つケースが多いため、注意が必要です。

長3の封筒印刷で劣化防止に役立つ正しい保管方法

長3の封筒印刷で劣化防止に役立つ正しい保管方法

コスト削減のため、長3封筒印刷をまとめて発注する際には、劣化防止のため、保管時には次のような点に配慮するようにしましょう。

温度・湿度を一定に保つ

封筒は紙製品であり、紙の保管には温度と湿度の管理が重要です。基本的には、温度20度前後、湿度50%前後での保管が推奨されています。できるだけ風通しの良い、湿度の少ない場所で保管することが大切ですが、除湿器やエアコンを使って湿度や温度を管理できる場所であれば、より品質を維持したまま保管しやすくなります。
また、除湿剤などを保管する箱に入れるという方法でも湿度による影響を軽減することができます。

直射日光を避ける収納

直射日光に当たると、紙やインクは変色しやすくなります。また、蛍光灯の光でも変色する恐れがあるため、封筒は段ボールや専用ボックスなど、光を遮ることができる状態で保管しましょう。オフィスで棚に置いて保管する際にも、窓際を避け、封筒を直接保管するのではなく、段ボールやボックスの中に入れた状態で保管することが大切です。

重ねすぎない・圧迫しない保管

封筒を保管する際には、段ボールや箱の重ねすぎにも注意しなければなりません。長3封筒印刷を大量に発注し、届いた段ボールを重ねて保管すると、重量で角が折れてしまったり、封筒が歪んでしまったりします。段ボールのまま積み上げる場合には、多くても3~4箱程度までにとどめるようにしましょう。
さらに、段ボールを床にそのまま置くと、湿気がこもり、カビが発生しやすくなります。そのため、ラックやパレットなどを活用し、床から10~15cm程度浮かせて保管することをおすすめします。

在庫管理を見越した長3封筒印刷のコスト削減のコツ

長3封筒印刷をまとめて発注することによって得られるコスト削減効果を最大化するためには、在庫管理の正確さが大きなポイントとなります。

発注ロットと消費ペースのバランスを取る

まず、長3封筒印刷を発注する際には、自社で年間、どの程度の長3封筒を使用しているのか、封筒の使用数を把握しなければなりません。例えば、請求書やダイレクトメールなどの送付目的で、月間500通ほどの発送を行っているのであれば、500通×12ヶ月=6,000枚が適正な発注数になります。また、保管場所に困る場合などは、小ロットで頻繁に発注する場合のコストと比較しながら、自社に合った発注ロットを決定するようにしましょう。

デザイン変更リスクを見越した印刷数量の設定

長3封筒を定期的に使用しているものの、今後オフィスの移転や電話番号の変更、ロゴの変更などが発生する可能性がある場合、大量に封筒印刷を発注しても無駄になる恐れがあります。封筒に印刷する住所などが変わる予定があるのであれば、移転などのスケジュールに合わせて、発注部数をコントロールするようにしましょう。この場合も、1ヶ月の長3封筒使用数を把握していれば、移転などのスケジュールから逆算し、無駄なく発注しやすくなるでしょう。
また、時期は決まってはいないものの、デザインの変更が生じる恐れがある場合には、半年程度の使用量を目安に発注することをおすすめします。

長3封筒印刷の注文前に確認すべき在庫リスク以外のポイントとは?

長3封筒印刷を発注する際には、部数だけでなく、以下の4点についても確認をすることが大切です。

・封筒の紙質・厚みが用途に合っているか
・カラー印刷や特色指定による仕上がりイメージ
・窓付き・糊付きなどの仕様が適切か
・名入れ・ロゴ印刷のレイアウト確認

封筒の紙質・厚みが用途に合っているか
紙質や厚みによって、封筒の雰囲気は変わります。例えば、クラフト用紙の封筒は厚みがあり、丈夫なため、商品を発送する際などには適していますが、企業として正式な文書を発する際にはカジュアルすぎる印象となる恐れがあります。また、薄い紙質の場合、淡い色合いの用紙を選ぶと中身が透けて見える可能性がある点にも注意が必要です。
封筒印刷を発注する際には、長3封筒の利用目的を明確にしたうえで、利用目的にあった紙質や厚みの封筒を選ぶことが大切です。

カラー印刷や特色指定による仕上がりイメージ
会社のロゴマークを印刷する場合、会社のイメージカラーを依頼する場合などは、色合いのイメージを確認するようにしましょう。フルカラー印刷だけでなく、指定した色に合わせて調合したインクを使用する特色印刷を希望する際にも、仕上がりの色合いを事前に確認しておくことが重要です。

窓付き・糊付きなどの仕様が適切か
長3封筒を使って、毎月、大量の発送業務がある場合などは、住所ラベルの印刷・貼付が不要な窓付き封筒や封緘時の手間を減らせる糊付き封筒を使用すると、業務効率をアップさせることが可能です。長3封筒印刷の大量発注でもコスト削減は可能ですが、発送時の手間を軽減すれば人件費の削減にもつながります。
封筒印刷を発注する際には、窓付きや糊付きなど、自社のスタイルに合わせた適正な仕様を選択するようにしましょう。

名入れ・ロゴ印刷のレイアウト確認
長3封筒印刷を行う際には、自社のロゴや企業名、住所、電話番号、ホームページのURLなどを印刷します。住所やURLが長い場合などは、不適切な場所で改行されてしまう恐れもあります。
名入れやロゴ印刷のレイアウトはしっかり確認し、ロゴや文字が理想の配置になっているかをチェックするようにしましょう。 また、印刷会社によって印刷可能範囲の規定が異なるため、レイアウトを確認する際は各印刷会社が定める印刷可能範囲も確認しながらデータを作成することが大切です。

まとめ|長3封筒印刷は保管・在庫管理でコストと品質を両立させよう

長3封筒印刷は、大量に発注することで一枚当たりの単価を抑えられるため、小ロットを頻繁に発注する場合に比べ、コスト削減を実現することが可能です。しかし、紙製品である封筒を長期間保管していると、日焼けや湿気によって劣化する恐れがあります。また、移転などによる住所や電話番号の変更が生じた場合、在庫を廃棄しなければならないケースもあるでしょう。その場合、大量発注によって、かえって無駄が生じる恐れがあります。
そのため、長3封筒印刷を発注する際には、年間の使用量や今後のスケジュールを鑑み、適切な数を発注することが大切です。さらに、大量発注する際には、湿気や日焼けなどを防止できる環境で保管できるかという点も事前にチェックするようにしましょう。

【監修者コメント】
印刷物は大量発注すれば単価が下がり、1点あたりのコストが低くなるのが原則です。
ただし、使用量と印刷量のバランスが見合っていなければ追加発注になるか在庫を余らせてしまうかになり、いずれにしても無駄が生じてしまいます。
そこでまずは、現状の封筒消費量をある程度計測してから適正な注文数を設定するのが当然ながら無難です。
特に長3封筒は封筒の中でも使い勝手がよく汎用性の高いサイズですので、一定期間ごとに適正量を見直すほうがよりベストなコストで使用できると思います。
その上で大量発注における懸念点としては、在庫の維持です。
劣化して痛みのある封筒を使ってお客様や仕事相手に何かを送るのは、いい印象を与えることはまずないでしょう。
封筒に限らず印刷物の劣化は環境などでかなり変わってくるのですが、劣化する目安はあっても条件次第で目安以上に保つこともそれ以下になることもあります。
大事なのは、とにかくなるべくいい保存状態を整えて取り扱うことです。
大量に保存するなら特にですが、100円ショップで販売しているラックやトレーなどの書類保管グッズを使うと在庫管理の視認性も上がり保存状態も整えられるので、低コストな業務的テクニックのひとつかと思います。
■監修者プロフィール
伊藤 友也さん
株式会社ウイングフォーム 代表取締役 伊藤友也

広告代理店勤務を経て、地元である埼玉県さいたま市地域の広告物に特化して取り組める環境をと思い、株式会社ウイングフォームを起業。主に企業や飲食店のチラシや封筒、ポスターなどのDTP印刷、ホームページ制作および広告代理業などを行い、地元地域のみならず各地域クライアントが「根差すPR」を目指して展開。会社やお店だけでなく個人の依頼も取り扱い、数量の少ない印刷物や小回りの利くちょっとした制作物を低価格で制作できるよう努めている。