企業の総務・人事担当者の皆様は、日々多くの書類を社外へ送付する機会があるかと思います。特にA4サイズの書類を折らずに送れる角2封筒は、契約書やカタログ、重要資料の郵送に欠かせない存在です。しかし、輸送中に封筒が破れてしまったり、中の書類が透けて見えてしまったりといったトラブルを経験されたことはないでしょうか。
実は、封筒の「強度」は書類を安全に届けるための重要な要素であり、紙の厚さや加工の種類によって大きく変わってきます。コストだけで選んでしまうと、大切な書類が破損したり、情報漏洩のリスクが高まったりする可能性があります。
今回は、創業70年の実績を持つ封筒印刷専門サイト【封筒の達人】の視点から、社用角2封筒における強度の重要性と、用途に合わせた紙や加工の選び方について詳しく解説していきます。封筒印刷の発注を検討されている方はもちろん、現在の封筒に不満を感じている担当者の方も、ぜひ参考にしてください。
社用角2封筒になぜ強度が必要か?
角2封筒の強度が重要な理由は、単に「破れにくい」というだけではありません。書類の安全性、情報セキュリティ、そして企業イメージという3つの観点から、強度は不可欠な要素となっています。
書類保護の観点
まず第一に考えるべきは、封筒の本来の役割である「中身を守る」という機能です。郵送される封筒は、配送センターでの仕分けや輸送トラックでの積み重ねなど、想像以上に多くの衝撃や圧力を受けています。
特に契約書や重要な資料が入っている場合、封筒が破れて書類が汚れたり折れたりしてしまうと、再送の手間やコストが発生するだけでなく、重要な手続きが遅れる原因にもなります。また、梅雨時期や台風シーズンなど、雨天時の水濡れリスクも無視できません。薄い紙の封筒では、わずかな雨でも中の書類まで水分が浸透してしまう可能性があります。
情報セキュリティの観点
次に重要なのが、セキュリティ面での配慮です。薄い封筒は、光にかざすと中の文字が透けて見えてしまうことがあります。特に個人情報や機密情報を含む書類を送付する場合、封筒の透け防止機能は情報保護の第一線となります。
また、物理的な強度も重要です。簡単に破れる封筒では、配送途中での開封や中身の盗み見といったリスクが高まります。厚手の紙を使用した封筒であれば、意図的に開封しようとした痕跡が明確に残るため、セキュリティ上の抑止力としても機能するのです。
企業の信頼性の観点
最後に見落とされがちなのが、企業イメージへの影響です。取引先に届いた封筒が破れていたり、ボロボロになっていたりすると、受け取った相手はどう感じるでしょうか。
「この会社は細かいところまで気を配れないのでは」「コストカットばかり優先して、取引先への配慮が足りない」といった印象を与えてしまう可能性があります。ビジネス文書における「丁寧さ」は、封筒の質感からも伝わるものです。しっかりとした強度の封筒を使用することで、企業の信頼性や誠実さをさりげなくアピールできます。
これら3つの観点を総合すると、角2封筒の強度は単なるオプションではなく、ビジネスにおける必須要素だと言えるでしょう。
強度を決める!封筒の「紙」の選び方
封筒の強度を左右する最も重要な要素が「紙」の選択です。用途に合わせて適切な紙を選ぶことで、コストと機能性のバランスを最適化できます。
紙の厚さ(坪量)の基礎知識
封筒の紙の厚さは「坪量(つぼりょう)」という単位で表され、1平方メートルあたりの紙の重さ(g/㎡)で示されます。数値が大きいほど紙が厚く、強度が高くなります。
一般的な角2封筒で使用される坪量と、それぞれの特徴を比較してみましょう。
| 坪量 | 特徴 | 推奨用途 |
|---|---|---|
| 80g/㎡ | 標準的な厚さ。コストパフォーマンスに優れる | 一般的な社内文書、案内状など |
| 100g/㎡ | やや厚手で安心感がある。透け防止効果も向上 | 取引先への提案書、営業資料など |
| 120g/㎡以上 | しっかりとした厚みで高級感がある。破れにくく透けない | 契約書、機密書類、分厚いカタログなど |
一般的な用途であれば80〜100g/㎡で十分ですが、重要書類や分厚い資料を送付する場合は120g/㎡以上を選ぶと安心です。ただし、坪量が増えるほど郵送料金も重くなる点には注意が必要になります。
定番の紙の種類
坪量と並んで重要なのが、紙の「種類」です。角2封筒で主に使用される紙には、それぞれ異なる特徴があります。
クラフト紙は、封筒の定番中の定番と言える素材です。木材パルプを原料とした茶色い紙で、強度が高く価格も手頃という特徴があります。ビジネスシーンで最も多く使用されており、「仕事の封筒」というイメージを自然に醸し出せます。ただし、濃い色のため、カラフルなデザインやロゴの印刷には向いていない面があります。シンプルで実用的な封筒を求める場合には最適の選択肢です。
ケント紙は、白色度が高く表面が滑らかな紙です。クラフト紙に比べるとやや高価ですが、清潔感と高級感を演出できます。企業ロゴや色の再現性が高いため、ブランドイメージを重視する企業に適しています。重要な取引先への書類送付や、企業イメージを大切にしたい場面で選ばれることが多い素材です。
その他、特殊な用途には撥水加工紙や耐水紙といった選択肢もあります。これらは水濡れのリスクが高い時期や、屋外イベントでの配布用など、限定的な状況で効果を発揮します。ただし、コストが高くなるため、一般的なオフィス用途では過剰スペックになる可能性があります。
紙選びで大切なのは、送付する書類の重要度や頻度、予算などを総合的に判断することです。迷った場合は、まず100g/㎡のクラフト紙またはケント紙から試してみると良いでしょう。
参考: 封筒の素材について|封筒の達人
強度と利便性を高める「加工」技術
紙の選択と同様に重要なのが「加工」です。適切な加工を施すことで、封筒の強度と使い勝手を同時に向上させることができます。
窓加工の種類と注意点
封筒に透明な窓を設ける窓加工は、宛名印字の手間を省ける便利な機能です。主にセロ窓とグラシン窓の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
セロ窓は透明なセロファンを使用したもので、クリアな視認性が特徴です。中の書類がはっきりと見えるため、宛名確認がしやすい反面、中身が透けて見えすぎる可能性もあります。グラシン窓は半透明の紙を使用しており、適度な透明度で宛名を確認できながらも、プライバシーにも配慮された仕様となっています。
窓加工を施す際の注意点として、窓部分は封筒の強度が下がるポイントになります。そのため、窓のサイズは必要最小限にとどめ、封筒全体の紙の坪量を一段階上げる(例:80g/㎡→100g/㎡)など、より厚手の用紙を選ぶといった対策も検討すると良いでしょう。内容物が重い場合や壊れやすい場合は、紙ネット封筒や緩衝材入り封筒など、構造自体で強度を高めた仕様を選ぶ方法もあります。また、窓の位置によっては郵送時の衝撃で中の書類がずれ、宛名が見えなくなるケースもあるため、内容物のサイズと窓の位置関係を事前に確認することが重要です。
フタ部分の加工
封筒を閉じるフタ部分の加工は、封緘の確実性と作業効率の両方に影響します。代表的な加工方法には、アラビア糊加工、ホットメルト糊加工、そしてテープ加工があります。
アラビア糊は水溶性の糊で、水で湿らせることで粘着します。コストが安く環境にも優しい一方、湿らせる手間がかかります。ホットメルト糊は剥離紙を剥がすだけで使える便利な加工ですが、やや コストが高くなります。
近年注目されているのが両面テープやワンタッチ糊による加工です。これらは封緘の手間を大幅に削減できるだけでなく、しっかりと封ができるため封緘強度も高まります。大量の郵送物を扱う企業では、作業効率の向上とミス防止の両面でメリットがあるため、多少コストが上がっても採用する価値があります。
印刷加工による強度維持
封筒の表面に印刷を施す際、同時に強度を高める加工を行うこともできます。代表的なのがニス加工です。
ニス加工は封筒の表面に透明なコーティングを施す技術で、印刷面をこすれや汚れから守り、表面の耐久性や耐水性を高めることができます。多少の水滴やこすれには強くなりますが、紙そのものの「破れにくさ」が大きく向上するわけではない点には注意が必要です。梅雨時期や雨の多い地域への発送で、印刷面をきれいな状態に保ちたい場合に適した加工となっています。ただし、コストは上がるため、高級感を出したい封筒や、特に重要な用途に限定して使用するのが賢明でしょう。
加工の選択は、送付頻度や作業人数、予算などを考慮して決定する必要があります。迷った場合は、印刷会社に実際のサンプルを取り寄せて、使い勝手を確認することをおすすめします。
印刷会社に相談する際のチェックリスト

実際に封筒印刷を発注する際には、印刷会社との円滑なコミュニケーションが重要です。以下のポイントを事前に整理しておくことで、スムーズな発注と満足度の高い仕上がりが期待できます。
まず用途と内容物を明確にすることから始めましょう。何をどれくらいの量入れるのか、その厚みや重さはどのくらいかを具体的に伝えます。また、内容物の機密性レベルも重要な情報です。個人情報を含む書類なのか、一般的な案内状なのかによって、必要な強度や加工が変わってきます。
次に予算感を共有することも大切です。コストパフォーマンスを重視するのか、それとも強度や高級感を優先するのかを明確にすることで、印刷会社も最適な提案がしやすくなります。総予算だけでなく、1枚あたりの単価イメージも伝えられるとなお良いでしょう。
見積もり依頼時には、紙の種類と厚さ(g/㎡)を具体的に指定します。「丈夫な封筒がほしい」という抽象的な表現ではなく、「120g/㎡のクラフト紙で」といった具体的な指示により、認識のズレを防げます。同様に、窓加工やテープ加工といった希望する加工内容も明確に伝えましょう。
そして、サンプルの取り寄せを忘れずに行ってください。カタログやウェブサイトの説明だけでは、実際の厚みや質感は把握しきれません。特に初めて発注する紙の種類や坪量の場合、必ずサンプルで確認することで、納品後の「思っていたのと違う」というトラブルを回避できます。
印刷会社に相談する際は、これらの項目をリスト化して臨むと、打ち合わせがスムーズに進みます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 角2封筒で一般的な書類送付に適した紙の厚さはどれくらいですか?
A4サイズの書類を数枚程度送付する一般的な用途であれば、80〜100g/㎡の厚さで十分です。80g/㎡は標準的でコストパフォーマンスに優れており、100g/㎡はやや厚手で透け防止効果も高まります。契約書や機密書類など、より重要な内容物の場合は120g/㎡以上を選ぶことで、破れにくさと情報保護の両面で安心感が得られます。
Q2. クラフト紙とケント紙、どちらを選べばよいですか?
用途と企業イメージによって選択が変わります。クラフト紙は強度が高く価格も手頃なため、日常的な書類送付や大量発送に適しています。一方、ケント紙は白色で高級感があり、企業ロゴや色の再現性が高いため、ブランドイメージを重視する場合や重要な取引先への送付に向いています。迷った場合は、送付先や送付頻度、予算を総合的に判断して決めると良いでしょう。
Q3. 窓付き封筒にすると強度が下がるのではないですか?
確かに窓部分は封筒の強度が下がるポイントになりますが、適切な設計と紙の選択により問題を最小化できます。窓のサイズを必要最小限にとどめ、全体の紙の厚さを少し上げる(例えば80g/㎡から100g/㎡へ)ことで、実用上問題ないレベルの強度を維持できます。また、窓加工による作業効率の向上や宛名印字ミスの防止といったメリットも大きいため、強度とのバランスを考慮しながら検討すると良いでしょう。
まとめ
角2封筒の強度は、書類の安全確保と企業イメージの維持に欠かせない要素です。輸送中の衝撃や水濡れから大切な書類を守り、情報セキュリティを確保し、取引先に対して誠実な印象を与えるためには、適切な紙と加工の選択が重要になります。
紙の厚さは用途に応じて選び、一般的な書類には80〜100g/㎡、重要書類には120g/㎡以上が適しています。また、クラフト紙の実用性とケント紙の高級感、それぞれの特徴を理解した上で選択することが大切です。さらに、窓加工やテープ加工といった付加機能は、利便性を高めながら強度とのバランスを考慮して決定しましょう。
封筒印刷専門サイト【封筒の達人】では、創業70年の実績を活かし、用途に応じた最適な封筒をご提案しています。紙の種類や厚さ、加工方法について迷われた際は、お気軽にご相談ください。サンプルのお取り寄せも承っておりますので、実際の質感を確かめた上で、貴社にとって最適な角2封筒を作成していきましょう。
強度にこだわった封筒選びが、ビジネスの信頼性を高める一助となれば幸いです。









